本当は怖い計算ドリル ~その1~ 子どもの目の輝き

「できた~。タイムが13秒縮んだよ。」

ある日の夕方、なにげなくテレビをつけると、子どもたちが
百マス計算に黙々と取り組んでいるようすが伝えられています。

女性レポーターもやや興奮気味に話しています。

「ごらんください。子どもたちのきらきらしたまなざしを。
昨今、子どもは無気力だといわれていますが、
ここの子どもたちは無気力さとはまったく無縁ですね。
現在、はやっている百マス計算の威力を見る思いがします」

私はこれを見て、頭がくらっとする思いがしました。

私も、子どもたちのあの目の輝きは知っています。
だけど、それは算数が楽しくて、きらきら輝いているわけでは
ありません。

かけっこなどで、友だちに勝とうとするとき、
一生懸命になりますね。
その時の目と同じです。

かけっこが得意な子はかけっこをしたがります。
友だちに勝てるから。

同じく、
計算が得意な子は、百マス計算をしたがります。
友だちに勝てるから。
友だちに勝てないまでも、タイムが縮めば
やる気は出ます。

「すごいじゃない。10秒も速くなったね」
ほめられれば、当然やる気は出ます。

だけど、しばらくするとタイムが縮まないときがやってきます。
やる気がしぼむ瞬間です。

実際、タイムが遅くなるときだってあるわけです。
その時、子どもの顔からは自信がさーっと引いていくのが
手に取るようにわかります。
さっきまで、喜んでいたのが嘘のようです。

今、私の塾では計算問題はほとんど重視していません。
(ゆっくりやってできるのであれば、問題なしです。
ほんとにその計算の仕組みが理解できていれば
そのうちに自然と速くなるものなのです。)

子どもたちが取り組んでいるのは、どれも頭を使って考える問題ばかりです。

はじめ、ああでもない、こうでもない、
ノートに図を描きながら、うんうんうなっています。
時間がたち、解ける瞬間がやってきます。

「解けた!」

本当にうれしそうです。
もちろん、手にストップウォッチはありません。

算数って、おもしろいね。

これが本当の目の輝きなんだと思います。

もう、あのにせものの目の輝きにだまされることはありません。

本当の目の輝きを知ってしまいましたから。

この記事は旧ブログに書いた記事(2005年)を編集したものです。

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