本当は怖い計算ドリル ~その5~ 頭の中は、まっかっか!?

百マス計算。

あの狂騒的なブームは一体何だったのだろう?

当時は賛否両論も巻き起こしておりましたが、今はやや落ち着きを取り戻し、百マス計算の功罪うんぬんよりも当然あるべきツールとして、依然として書店にもたくさん積まれています。

ところで、この百マス計算ブームの立役者といえば、

カ○○マ先生ですね。

というと、○○の中には、ゲヤを想像する方が多いと思いますが、

実はもうひとり、いらっしゃいます。

(ヒント) 鳥です。結構、どう猛ですよ。

答は、

ワシ

東北大学の教授、川島隆太氏です。
川島教授は、百マス計算を科学的な側面からバックアップされた方です。

「単純な計算の繰り返しで脳は活性化する!」

このキャッチフレーズで、たくさんの本をお書きになっています。

書店のベストセラーのコーナーでは、必ず川島教授の著作をいくつか目にします。

川島教授の研究は、もともと老人性痴呆症などに対する学習療法ということです。

単純な計算の繰り返しで、脳内の前頭葉に血液がたくさん流れるわけですから、なるほど、老人性痴呆症には効きそうな気がします。

だけど、思うのです。

痴呆症に効いたから、子どもの脳も同じ方法で活性化させようと
いうのはかなり無理があるのではないか。

痴呆症で効果があったからといって、何の検証もなしに子どもにやらせていいのか。
(百マス計算の検証は、全国の学校でいろんな先生がやっておられます。例1 例2 例3

そもそも脳の活性化って、そんなにいいことなのか?
血流量の増加で、脳がまっかっかになることが
本当にそんなにいいことなのか?

細胞の呼吸にとって、確かに酸素は必要だけど、たくさんありすぎると、活性酸素になってむしろ体には害になってしまうように、脳の毛細血管の中に血液がドバーと流れている様子は、どう考えても健康的な状態とは思えない。
むしろ害になっているような気がする。
(酸素が活性化して悪さをするのはよく知られています。脳も活性化すると、どうやら・・・)

ましてや、脳の中の毛細血管です。
体の中でおそらく一番デリケートな部分ですから、
もっとおしとやかに流れていないといけないような気がするのですが・・・。

人前に出て恥ずかしくて。。。
怒りでぶるぶる震えて。。。
お酒をたくさん飲んだとき。。。

血流量が増加して、顔が真っ赤になりますね。

どうも人間の生命活動で、血流量が増加するときは
非常事態に限られるようです。

このような非常事態をあえて起こすことによって、ご老人の痴呆症などの治療などに役立てるという考えはよくわかるのです。
(まさに「毒を転じて薬と為す」!)

だけど、子どもたちは病気でもなんでもないのです。

そういう非常事態が必要とは、とても思えません。

川島教授は、数々のご自身の著作の中でことあるごとに

「簡単な計算の方が、難しい計算問題を解くよりも、頭がよりよく働いている」

と結論づけています。

が、

ドウカンガエテモ、コレハオカシイ!

ちょっと、考えてみればわかることです。

① 6×8=    ② 5-3×(4+4÷0.1)=

2つの問題で、どちらが頭が働いているか。

①は、ロクハシジュウハチでおしまいです。
どうですか?頭が働いた感じ、味わえましたか?

②は、少し考えなくてはいけません。
何も考えないで5から3をひいてはいけませんね。
+、-、×、÷、()の意味を考えて、どこから計算をすべきかを
考えなくてはいけないのです。
こちらの問題は、頭を働かせないとすぐにひっかかります。

自分の感覚を信じれば、②の問題を解いたときの方が、
頭が働いているとだれもが思うはずです。

川島教授の学習理論を簡単に図式化すれば、

「単純計算をたくさんする」

「前頭葉の血流量が増加する(脳が活性化する)」

「脳の働きがよくなる」

「頭がよくなる」

という論法です。

ここに、論理の飛躍があると感じるのは私だけでしょうか。

前頭葉に血液がたくさん流れれば、それだけ脳細胞が活発に代謝を行っているわけですから、それは確かに脳が「活性化」しているわけです。

そこまでは納得できます。

だけど、

その「脳の活性化」が「頭がよくなること」に
本当に結びつくのかどうか。

おおいに、??????????????です。

学校でも、塾でも、計算はできるけれども、
応用問題ができない子どもはたくさん確認されています。

ご家庭でも、多くのお母さんが確認されています。(たぶん)(^^;)

もし、彼が主張していることが本当だとすれば、
単純な計算問題をすればするほど、頭がよくなって、
応用問題もどんどん解いているはずです。

学校ではほぼ毎日計算ドリルの宿題が出ているわけですから、
優秀児だらけのはずです。

だけど、そんな話、聞いたことがありません。
(テレビで一度、陰山先生が自分たちのクラスの子どもたちに中学入試問題を解かせてガッツポーズを取って、「これで百マス計算が考える力も育てていることが証明された」と喜んでいました。その問題が大きくテレビの画面に映し出されましたが、よくあるパズル的な、計算問題の延長線上にあるような問題でした。これでは、証明されたことになりません。百マス計算によって得られた力が具体的状況でも応用されるかどうかを調べることができる問題を解かせて初めて、考える力が育っているのを確かめることができるはず。それを試すのに、またもや計算問題をもってくるとは・・・嗚呼)

私の塾でも、長い間、ストップウォッチ片手に
単純な計算問題をたくさんさせてきました。

結果は、散々でした。

計算は、速くなります。

それだけです。(T_T)

科学だかなんだか知りませんが、1科学者の一言によって、世間全体がこんなにも大きく影響される。

恐ろしいことだと思うのは、私だけでしょうか。

実は、科学的実験結果から、頭をよくする方法がもうひとつあります。

百マス計算関連の本の中では、あまり触れられませんが

咀嚼(そしゃく)運動をするだけで、前頭葉の血流量も増えるということです。

「よし、宿題を出すぞ。今日の宿題は・・・」
「先生、またチューインガム?もうあきちゃったよ。たまには、チョコレートにしてよ」
「うるさい!チューインガムをかめばかむほど、君たちの前頭葉には血がたくさん流れて、脳が活性化されるのだ。つまり、賢くなるのだ。それに、チョコレートじゃ、すぐに食べてしまって何度もかめないだろうが。いいか。今日の宿題は、チューインガムを必ず500回かむこと!」
「えーっ!!」

なんて会話が、教室の中で起こらないことを望みたいですね。

犠牲者はきまって、子どもたちなのですから・・・。

この記事は旧ブログに書いた記事(2005年)を編集したものです。

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